会長:松本 美志也
(山口大学医学部附属病院)
中国・四国支部第59回学術集会の会長として一言ご挨拶申し上げます。2022年の支部集会も2021年に続き完全WEB開催となり、
皆様を山口の地でお迎えすることができずに残念ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
本学術集会のテーマは、「10年変革」としました。COVID-19は未曽有の事態を引き起こしましたが、
一方で世の中のデジタル化が急速に進みつつあります。もともと人工知能の医療への応用が進んでいましたので、
その流れをさらに加速することになるでしょう。麻酔科においては、術前術後の患者管理に大きな変革をもたらすと考えられます。
一方で、高齢者の医療では簡単には解決できない問題が多いのが現状です。2025年には団塊の世代が75歳以上になり、
認知症患者の大部分を占めるアルツハイマー病(AD)患者は500万人を超えると予想されています。
認知症の予備軍と考えられる軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)患者は認知症の患者数とほぼ同数いると推測されていますので、
高齢者の認知機能を治療の中でどのように維持していくかを真剣に考える必要があります。
今回のCOVID-19の治療でも高齢者の治療の難しさが話題になっていますが、高齢者の周術期管理には総合力が必要でしょう。
医療システムの変革も迫っています。2025年までには医療機能ごとに病床数の再編が行われます。
地域の中核病院の再編が進み、その流れは大学病院の再編へ波及するかもしれません。
そして、2024年からは時間外労働の規制が医師にも適用されます。医師の過剰労働は避けるべきであり、
これは医療安全上の視点からも重視されるべきことです。患者にとっても医療従事者にとっても安全で快適な環境の整備が課題です。
以上のようにこれからの10年間で大きな変化が予想されます。難しい問題が多いですが、
解決の糸口が思わぬところから出てくることもあります。以上のような問題を会員の皆様と考える会にしたいと考えています。
皆様の積極的なご参加をお願いいたします。
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